訳 あなたの友人のハリーは,プロの作家になりたいと思っています。彼は創作コンテストに応募するために,2人の新しいヒーローについての物語を書きました。あなたは,それを読んだ後でハリーに自分の意見を伝えます。ブルーバードとメロディ:本物のヒーロー 誰もが僕のことをブルーバード,すなわち世界的に有名なスーパーヒーローとして知っている。以前は名ばかりのスーパーヒーローだったけれど,今ではその呼び名にふさわしい存在だ。あなたに僕の物語を話そう。 僕は,大人気スーパーヒーローのグループチーム・ヒーローの 6 人のメンバーの 1 人を務めていた。僕たちのスローガンは「人類に奉仕するヒーロー!」だった。でも,人類に奉仕するどころか,僕たちはくだらないテレビ番組に出演していた。僕は,自分の名声にすっかり心を奪われてしまい,自分が偽物のスーパーヒーローだということに気づいていなかった。設問データ(令和 7 年度共通テストによる)設問数/マーク数配点本文語数目標解答時間CEFR レベル4 問/812 点約 1000 語程度約 12 分B1 程度ハリー・オカザキ著♦♦♦♦♦ ある日,僕たちは『ヒーローたちの日々』という,僕たちの毎日の善行を描いたリアリティ番組の撮影をしていた。しかし,実際には僕たちは役者でしかなく,世界を救っているふりをしているだけだった。その番組のある回で,僕は道路の排水溝に迷い込んでしまった猫を救うことになった。空を飛んでいると,女の子の泣き声が聞こえてきた。私はとっさにその女の子がいるところへ舞い降りた。その子は,泣きながら飼い猫のウィスカーズが排水路に入り込んでしまったと私に告げた。実を言うと,テレビ番組のスタッフの1人が,地下の排水路で猫と一緒に待機していたのだ。 「大丈夫だよ! ウィスカーズは僕が助けてあげるから!」と僕は言い,排水路の蓋を勢いよく開けると,地下へと降りていった。驚いたことに,スタッフはウィスカーズを見失ってしまったと言い,その猫を探してほしいと僕に言った。僕はウィスカーズの名を呼びながら歩き続けたが,その猫は姿を見せなかった。 すると突然,「チーム・ヒーロー」の新しいメンバー,メロディがどこからともなく現れた。メロディは謎めいたところがあった。目にマスクをかけていて,正体は不明だった。彼女は,地球上のどこへでも一瞬でテレポートできるので,前触れなく現れるのはいつも驚きだった。「ウィスカーズはあなたを信用できないと思っているわ。出てくるように私が説得するわ」と彼女は言った。メロディはどのような音でもまねることができるので,猫の鳴き声を出したところ,ウィスカーズが姿を見せた。 僕がその猫を拾い上げて,通りに戻ると,見物人の間から歓声が上がった。ウィスカーズと少女と一緒に写真を撮ってもらおうとしていたとき,自分がどんなに滑稽に見えるのか考えていた。すると突然,頭の中にある声が響いた。「有名人になろうとするなんて,滑稽に見えるわ」。僕は,それがメロディの声だと気づいたが,彼女はもうすでに姿を消していた。♦♦♦♦♦ 僕は,ニューヨーク州にあるアレガニー州立公園の中で育った。両親はどちらもパークレンジャー(公園の管理人)をしていて,公園を巡回し,困っているハイカーの手助けをしていた。僕は 12 歳の時に,自分に超能力があることに気づいた。木登りをしていたとき,枝が折れた。落ちるかと思っていたら,僕は宙に浮いた。そのことを両親に話すと,母は「じゃあ,あなたは,この家族の中では飛ぶのが得意なのね」とだけ言った。そして驚くべきことを話した。「あなたには超能力があるお姉さんがいるのよ」。僕が知らされたのは,姉の能力は人を救える可共通テスト 英語 リーディング 大問別・傾向と対策第6問前回の共通テストから,語数が 1,000 語近い「物語文」が新たに導入された(今回は 700 語あまりとやや短縮)。設問は,物語の内容に基づいてプレゼンテーション用のメモやスライド,メールの文面を完成させる形式となっている。 例題 ※第 5 回(令和 7 年度)共通テスト本試験より抜粋
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